弊社サポートによるモスクワ音楽院短期留学第一期生レポート
モスクワ到着翌日
朝、
泊まっているフラットには冷蔵庫もあるので、レッスンしてもらう曲をCDプレイヤーで聞きながら、昨日調達しておいたパンとチーズとオリーブ、大好きな100%のオレンジジュースの朝食を取りました。
天気もよくて、窓際にテーブルがあるので、気持ちよい朝。
これから始まる生活を思って、少しの不安はあるけれど、ドキドキと、期待感で、すっきり目が覚めました。
10時45分きっかりに御世話になるマルガリータがフラットまで迎えにきてくれました。(注1)
案内されたのは歴史を感じる白い壁の建物で、この建物はラフマニノフホールと呼ばれているのだと教えてもらいました。
まずは建物の二階に案内されるとマルガリータ先生の部屋があり、これからの事を色々説明してもらいました。
(注1:この第一期生の自習時間は11〜14時と音楽院から指定。自習初日は担当者が少し前に来て案内します)
その後練習室へ。
三階に何部屋かあり、私が鍵をもらったのは304番の部屋でした。
広い教室の端にグランドピアノが置いてあって、"ペトロフ"のピアノでした。
私はペトロフのピアノで練習したのは初めてでした。
(日本の大学では殆ど、KAWAIかYAMAHAのピアノだったので) 少し黒鍵が丸みがあって、タッチした時に違和感がありましたがすぐに慣れました。
ラフマニノフホールと名のついているこのホールで、且つて敬愛する人達も学んだのかなぁと思うと、歴史の深さを感じて、練習する指にも気持ちがこもりました。
夢中になって練習していて、二時間近くたつ頃、マルガリータがやってきて、"ランチに連れて行く"と言いました。
私の練習時間は11時から14時で、その後すぐにレッスンだったので、
食事を取らずに練習したい、と答えたのですが、"レッスンは二時間だしお腹すくわよ、
さっさと食べて帰ってきましょう"と誘うので、"即ランチ"に行く事にしました。(注2)
(注2:貴重な自習時間にランチタイムが入る等の、時間が割かれる事が苦痛な方は最初にお知らせください。)
連れて行かれたのはモスクワ音楽院の学生食堂。音楽院の建物の二階にあります。
トレーをとって、パンやスープ、サラダ等を取って行く形式です。私を連れながらマルガリータが説明してくれます。
"これはロシアのポピュラーなスープ、試してみる?"等…
私は冷たいスープと、フィッシュ(サーモンでした)と、赤かぶのサラダ(ロシアでは有名なサラダです)、それからコーヒーを選びました。スープとサラダは初めて食べる味で、これは何が入っているの??と聞きながらも急いで食事をとりました。
食事のあと練習室に戻って改めて練習した後、二時にまたマルガリータが迎えに来て、
レッスン室まで連れて行ってくれました。
レッスン室はとても広く、天井がとても高く、ラフマニノフや、スクリャービン、モスクワ音楽院が輩出した有名な人々の肖像が飾ってあります。
レッスンしてもらう先生は、イリーナ・プロトニコバ先生。
英語でレッスンしてくれるとのことだったので、とてもありがたいと思いました。
緊張しながらもまずは最初から最後まで通して弾きました。
そのあと、最初から演奏するのですが、一小節ごとに、音色、アーティキュレーション、ペダリング、本当に細かい所まで指導されます。
プロトニコバ先生はお手本を、本当によく弾いてくれます。
とても情熱的に、ダイナミックに弾かれる先生なのですが、ピアニッシモや、ドルチェの部分の表現がとても繊細で、その幅の広さ、音の深み、表現力にただただ圧倒され、心から感動しました。
こんな素晴らしい先生に教えてもらえるなんて…自分の出来なさが恥ずかしく、悔しくも思いました。
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英語でのレッスンは、日本語でのレッスンと感覚的にもやはり違います。
日本語で、"どうしてそう弾くの!"と言われるより、
英語で、"I can't understand your play"
と言われた方が感覚的なものですがなんだかショックでした。(笑)
今回モスクワに来て、レッスンを受けた、私の中の本当に貴重な体験の一つとなりました。
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現地でレッスンを受ける、という事は、ただ"レッスンを受ける"という事においてではなく、
色々な意味で本当に勉強になります。
きっと日本で同じ先生にレッスンを受けても勉強になるでしょうが、
"その場所"で受けると何かが違うのです。
練習しているその3時間、も、普段の自分の部屋での練習とは気持ちが全然違う、と感じます。
もちろん日本とは環境も言語も違いますし、人々や景色、歴史ある建物など、色々な物を自分の目で見て、接して、何より自分自身が全身で感じて吸収したいと思える事かな、と思いました。
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私は特に大学院で二年間、プロコフィエフ、ラフマニノフ、スクリャービン等、ロシアものをさらっていたので、ロシア音楽にはとても興味深く惹かれる物があったので感無量でした。
もっとピアノと関わって生きたいなぁ、
と改めて思いました。
機会を見つけて、
ぜひぜひまたレッスンを受けに行きたいと思っています。
同行した弊社Yoshiiによる後記
この第1期生は日本でいわゆる英才教育、日本の著名なピアニスト達からレッスンを受け、有名音楽大学入学、そして大学院を卒業された方です。
卒業論文はロシア音楽がテーマだったそうです。
在学中から数々の賞を受賞し、現在プロのピアニストとして活躍されていらっしゃいます。
彼女はヴォスクレセンスキー教授のレッスンを希望していましたが、残念ながら教授は彼女の滞在期間にモスクワを不在にしていた為、彼女の音楽教育履歴と受賞歴を考慮した結果、音楽院担当者がイリーナ・プロトニコバ教授を選びました。
私はレッスンを見学しましたが、この人選は見事に的を射たものでした。
帰国時に彼女から感想を聞くと、このレッスンは本当に衝撃的なものだったそうです。
「目からウロコ!」と。
多くの有名な日本人ピアニストからレッスンを受けていて教育もしっかり受けていた彼女にとって、初めて感じた驚きだったようです。
「ピアノにもっともっと取り組んでいく気になった」という言葉を聞いて、ご案内できた喜びをかみしめました。
音楽院担当者との打ち合わせ中に 最近の日本人留学生の演奏傾向について聞いたところ
「ロシア人学生・欧米からの生徒に比べると、日本人だけでなくアジア人の傾向としてデジタルの音に慣れすぎているからか分からないが、音やタッチが平板的な傾向がある」
と言っていました。
何となく分かる気がしました。
平板的な演奏は綺麗に流れていきますが、感動を与えるものとは違います。
決して日本の教育を否定するわけではありません。
日本国内だけでよければ留学の必要はありません。
ただ、第一期生の方の感想のように、世界で名だたるモスクワ音楽院のレッスン室で、素晴らしい教授からマンツーマンのレッスンを受ける経験は、何物にも代えがたいものです。
もしかしたら「よくない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですがクラシックの世界に生きる方、生きたい方なら是非1度は経験していただきたいものです。
最後に、私はプロトニコバ教授のお手本演奏に感動して涙が出てきてしまいました。
小節単位の短い演奏でも、表現力が優れていれば、聴衆を感動させて動けなくさせることは十分可能なのです。
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